特別活動 希望の会

文科省 教科調査官と実践・研究者のネットワーク

     

第9回「希望の会 in 佐賀」ミーティングレポート

<ミーティングの概要は 案内ページ をご覧ください>

なお、12月15日 (月) に発売される文溪堂「道徳と特別活動1月号」に、ミーティングの内容が掲載されることになりましたので、お知らせいたします。

10月4日 (土) 佐賀県佐賀市立春日北小学校において、日本特別活動学会九州・沖縄支部第6回研究会 (遠藤忠会長・中川昭則支部長)、第9回特別活動「希望の会」ミーティング (今村信哉世話人代表) を森悦郎実行委員長のもと開催しました。

当日は、約100人の参加者を迎え、6本の実践事例発表に基づく3つの分科会と杉田調査官によるご講演を通して、研究主題「新学習指導要領における特別活動の実践課題」を深めました。

大会テーマは「新学習指導要領における特別活動の実践課題」とし、3名の講師陣をお迎えして3つの分科会「学級づくりと学級活動の実践課題」「人権教育と特別活動の実践課題」「道徳教育と特別活動の実践課題」で、研究実践発表各2本とワークショップ型のグループ協議と発表の後、講師からの指導助言で会を進めることができました。

その講師として、文部科学省の杉田洋先生「道徳教育と・・・」、國學院大学教育系新学部設置室、室長の新富康央先生「学級づくりと・・・」、佐賀大学文化教育学部の松下一世先生「人権教育と・・・」という、豪華3名の先生方をお迎え、多数、九州・沖縄支部内はもとより、東京・埼玉からかけつけてくださった先生方、運営スタッフの先生方のご協力により盛会に終わることができましたこと、事務局を代表いたしまして、お礼と感謝を申し上げます。

また、開催にあたり、ご指導ご鞭撻を丁寧に行ってくださった福岡県の中川昭則先生、また、大会実行委員長の森悦郎校長先生 (只今、療養のために入院中ですが、ご回復を心よりご祈念申し上げます)、大会副実行委員長として森校長先生の後を引き継いでいただいた井手義信校長先生、誠にありがとうございました。以上、たくさんの先生方のご支援とご協力により、佐賀ミーティングが盛会のうちに終わることができましたことをご報告いたします。

 

第1分科会「学級づくりと学級活動の実践的課題」

司会: 黒木義成(沖縄) 会場責任者: 廣瀧修一(佐賀)

発表1「仲良く助け合う子どもを育てる第一学年の学級活動」
進行役: 福岡県宗像市立赤間西小学校 木村 篤典
入門期の話合い活動についての提案だった。計画?実践?評価と活動過程を捉え、そこに、次の三つの視点で工夫を取り入れておりました。

  • 「書く活動」…自分の意見をもち、積極的に意見を出し合う態度を育てる
  • 「試す活動」…出された意見を確かめ、よりよい集団決定へと導く
  • 「認め合う活動」…自他のよさに気付き、自分とちがう立場を受け入れられるようにする

これらの視点を明確にして「二くみのうたをつくろう」という議題が、、学級の文化として生まれ、育っていく様子が伝わる内容でした。

発表2「よりよい学級生活を目指す係活動のあり方」
進行役: 佐賀県佐賀市立東与賀小学校 今村 昇治
PDSAサイクルを係活動の基本過程として子どもと教師が共有し、係活動を活性化した実践報告だった。理論の明快さと実践の密度の濃さは、説得力があった。常時教室環境としてサイクルの図を掲示して、それぞれの係がどういった計画をもち、どういう段階かが、常に学級全員に分かるようになっている。係組織内の者にとっても、周囲の者にとっても刺激的で、支援の持続性という意味でも大変興味をそそられる内容でした。
指導助言
國學院大學 新富 康央
参観者によるワークショップでは二つの実践から活発な論議がなされた。これを受け、新富先生が、新学習指導要領の重点「自己の生き方・考え方」にふれられ、特別活動における不易と流行を分かりやすくご示唆いただいた。「特活があるけん学校たい!」の新富先生ならではの話が続き、「『「太郎が太郎になる』挑戦」の話では、特別活動の視点から見ると、世の中の間違った個性観が浮き彫りになる。「なぜ今特別活動なのか」再確認させられると共に、強い使命感も与えていただきました。

 

第2分科会「人権教育と特別活動の実践的課題」

司会: 吉田卓(福岡) 会場責任者…中村尚志(佐賀)

発表1「自分の価値を高める特別活動の創造」
福岡県福岡市立原小学校 土田 涼子
他者とかかわりながら自分のよさや可能性に気付き始める活動づくり~発達段階に応じた育成したい自己価値力(よさや可能性)の内容をもとに、事前・事中・事後の各段階の指導のねらいと手立てを明確にした実践だった。子どもが自分の価値の高まりに気付けるように、意欲・態度、役割取得能力、共感性などの六つの観点で記入していく「個人振り返りカード」の工夫がなされていました。
発表2「人とかかわるよさを実感できる学級活動をめざして」
佐賀県教育センター 江頭 幸子
意図的・計画的に「よりよい人間関係を構築するための人権教育の視点(7つ)」を学級活動で取り扱い、日常生活に人権意識が広がった実践が紹介された。成果として、子どもがだれとでもかかわり、友達関係の固定化を防ぐ手立てとなったことが挙げられました。
指導助言
佐賀大学松下一世先生
人権教育の目標と特別活動の目標には多くの重なりがある。この共通点は、文科省の「人権教育の指導方法等の在り方についてのとりまとめ」に表れている。この背景については、大きく二つの流れがある。一つは、国連人権教育十年である。もう一つの流れは、同和教育五十年の歴史である。これまでの同和教育実践の上に、国際的な人権教育を取り入れて再構築していくために、「とりまとめ」があります。
同和教育実践は、五十年前、学校に行けなかった被差別部落の子どもたちの教育権を保障するために始まった。それは、「教師の望む子ども像」から阻害された子どもを学校の中心に位置付ける、これまでの学校観、子ども観を転換するものだった。それは、厳しい生活現実にある子どもの思いを大切にした「仲間づくり」の取り組みとして広がった。こうした取り組みは、もちろん学級活動を基盤とした特別活動そのものです。
新指導要領では、「人間関係」「生きる力」が強調され、これまで以上に人権教育との共通点は多い。どちらも、一人一人の子どもの人権を大切にし、社会の中の他者との関係を通して成長を促す教育と言えます。

第3分科会「道徳教育と特別活動の実践的課題」

司会: 井原竹始(佐賀) 会場責任者: 佐々木英利(佐賀)

発表1「よりよい学級集団に主体的に働きかける子どもを育てる学級活動」
福岡県古賀市立古賀東小学校 藤井 龍一
学級集団に主体的に働きかける三つの特性、「有用感」「信頼感」「期待感」を身に付けさせるために、学級活動の三つの形態である係活動・集会活動・話合い活動を関連させた実践報告がなされた。具体的実践として、「実習生を送る会」と「舞里クリーン作戦」の二つが紹介された。「実習生を送る会」では、レク係が企画を全体に広げ、主体的にイベントに関わったことが紹介された。また「舞里クリーン作戦」では、新聞係の企画・広報活動と学級によるクリーン作戦を関連させて取り組まれていました。
発表2「積極的に集団に働きかけ、よりよい生活の実現に向けて、豊かな人間関係を築く子どもが育つ学級活動のあり方を探る」
佐賀県佐賀市立本庄小学校 中村 佳代
意見交流を取り入れた五年生話合い活動の取り組み~話合い活動で、だれもが集団決定に納得できる手立てとして、「とくとくタイム」を設定した実践報告がなされた。「とくとくタイム」は、意見が対立したり、発言が滞ったりした場面で席を離れさせ、流動的な状態で互いの意見を交流させることを目的に取り入れた活動です。実践報告の中では、「縦割り班の1年生と学級探検をしよう」という題材を話されました。意見交流の観点を二つに絞り、A案とB案について話し合わせ、その後、集団決定の場で交流して互いの立場を尊重した話合いができたことが報告されました。
指導助言
文部科学省調査官 杉田 洋
道徳教育をしやすい集団をつくることが大切で、そのために特別活動がある。さらに、その特別活動をよりよく進めていくのが教師の力量である。指導要領に明記された「自己の生き方」は、道徳、特別活動、総合的な学習の時間、すべてに入っております。
具体的に道徳と特別活動の関連を考えたとき、特別活動での経験を道徳で使うという捉え方がいい。逆に道徳から特別活動という流れは、行事をやるための道徳になりかねない。道徳で特別活動を生かしてほしい。学校の教育活動で道徳的でないものはない。ただ、放っておくと道徳的でない場合がある。話合い活動の意義については、例えば、ただドッジボールをしたことと、話合いをしてドッジボールをしたことが同じなら、意味がない。必ず違いがある。だからこそ、子どもたちにとってその活動が道徳的になる。
道徳と特別活動は、ゆるやかなかかわり、関係を保ってほしい。なぜ学級集団をつくっているのか。集団の中で一年間過ごす中で育つ道徳性があるからである。

 

講演「新学指導要領における特別活動の実践的課題」

文部科学省調査官 杉田 洋

新学習指導要領のキーワードを紹介され、丁寧にその意味するものや目指すところをご教示いただいた。「よりよい生活や人間関係」「自己の生き方についての考え方」「自治的能力」「言葉と体験」「学級や学校の生活づくり」「勤労観・職業観」「食育」「集団宿泊体験」「指導計画の作成と内容の取り扱い」「人権を尊重する態度」など、最新の脳科学を紹介されました。

脳の中の「海馬」でシナプスをつなげていく可塑性が、学習のメカニズムに通じるところがあることを話された。話合い活動中の子どもの様子を例に出され、インプット後に子どもは考えているのかという問題提起をされた。ワークシートにあらかじめ書かれたことを読んでいるだけではないか。みんなで押し黙って途方に暮れている時間も大事、柱は一つでいいからじっくり考えることが大事というお話には考えさせられました。

佐賀県佐賀市立春日北小学校教諭
西川 記世

コメント: 2

  1. 飯盛 直子

    佐賀市立赤松小学校の飯盛 直子と申します。
    先日は、佐賀での研究会開催へのご理解とご協力ありがとうございました。はしっこの係を担当させていただきました。希望の会のよさがよくわかる会でした。

  2. […] <この研究会は終了いたしました。詳しくは レポート をご覧ください> […]